30草虱

      堂縁に良き風来たる地蔵盆(男声女声)      常朝    (演奏時間 1:42)   

 注:2010年7月奈良・伝香寺の地蔵盆は7月でした。午後4時から読経の中「はだか地蔵」の着せ替えがあり、その後お守りをいただきました。
境内で「いさがわ幼稚園」の盆踊りが始まる5時すぎまで堂縁で待ちました。
夕方になり境内の橙の木などを抜けて香り良い風が来ました。
    境内に幼稚園ある奈良の寺
    地蔵盆の読経に着せ替え地蔵様
    園児の盆踊り待てば御堂に良き風も
    堂縁に良き風来たる地蔵盆

     草虱政治悪いと云ひて取る(男声女声)      常朝    (演奏時間 1:50)

注:2010年11月生駒市の竹林園を訪ねました。
東側の池までの道を歩くと草じらみがズボンに沢山付きました。
池の辺りで休みがてら草虱を 政治が悪い など独り言を言いながら取りました。
    竹林園は年中青い竹の庭です
    その庭を抜けて東の池へ歩けば
    ズボンについたよ草じらみ
    平和のためにと軍事化すすむわが日本
    草虱政治悪いと云ひて取る


   壊されし我が家の壁に汗落とす(男声女声)   常朝    (演奏時間 2:25)

注:1985年8月大阪へ転勤後、7年間空家だった大和高田市の家を処分し奈良へ移りました。業者が更地にするために解体中の家を見に行きました。倒された白壁に汗が落ちました。1965年以来13年住み、1978年の東京転勤まで子供達も生まれ育った家です。
    この家で結婚もし子供達も生まれたのです。  
    20年我が家であった家が今壊されています。
    重機で破片となった白壁が足元にあります。
    壊されし我が家の壁に汗落とす


   蓮の葉の盆舟母と送りけり(男声女声)       常朝    (演奏時間 1:53)

注:2012年年8月奈良大和田町の行者滝に行く途中、富雄川に盆の供物の茄子が浮いていました。子供の頃母がお盆すぎ、蓮の葉に茄子やおにぎりなどと線香を置いて、家の下の川に戦死した父の霊を共に見送ったのを思い出しました。
    茄子ひとつ流れて来たる盆の川
    思ひ出す蓮の葉に載すおにぎりと
    父の魂茄子線香
    蓮の葉の盆舟母と送りけり  


    翡翠のくわへし魚を振り打てり(男声女声)      常朝    (演奏時間 1:40)

注:1994年3月奈良・富雄駅近くの富雄川を歩いていたら、青い翡翠(かわせみ)が飛んできて岩に止まり、咥えてきた魚を岩に振りつけました。あっという間の出来事でした。どこで、いつの間に小魚をくわえたかもわからないほどの早業でした。小魚も何がどうなったかわからないまま意識がなくなったでしょう。 
    奈良西の街を流るる富雄川
    翡翠岩に飛び来る
    くわへたる小魚白く光りをり
    翡翠のくわへし魚を振り打てり


29蓮の音

    蓮開く音はあらずと言い切らる(男声女声)      常朝   (演奏時間 2:20)

注:2012年7月琵琶湖烏丸半島の蓮池を訪ねました。蓮の花は少なかったですが葉の上の水玉が風と遊んでいました。朝蓮の花の咲くとき音が出ると聞いていたので、同行者の義姉に聞くと、音はないと言い切られました。数年後風車は撤去されました。
    琵琶湖南の半島に風車ゆっくり回りゐて
    そばに蓮池広がれリ
    花開く音はあるかと尋ねれば 
    蓮開く音はあらずと言ひ切らる


    茅花流し竹炭窯の谷狭し(男声女声)        常朝    (演奏時間 1:54)

注:2011年6月京都府精華町の山田川から乾谷を北へ歩きました。
谷はだんだん狭くなった所に竹炭窯の小屋がありました。
煙は出ていなかったですが、茅花流しの心地よい風が吹いてきました。
    洛南の谷は青葉に囲まれて
    小川の岸の鬼灯も
    ゆらして茅花流し吹く
    茅花流し竹炭窯の谷狭し


   稗蒔を吹きて青波立たせたり(男声女声)     常朝    (演奏時間 2:04)

注:2016年6月去年採っておいた稗(冷え)の種を菓子の空箱の蓋に敷いた綿に撒いたら、ぎっしりときれいに青い稗苗が育ちました。それを上からを吹いたら、まるで植田の波のように青波が立ちました。
    菓子箱の蓋に蒔いたる稗の種
    待てば青々葉が伸びて
    植田の如く育ちたる
    稗蒔を吹きて青波立たせたり  


    葉桜に緑の炎水陽炎(女声男声)              常朝    (演奏時間 2:05)

注:2018年4月奈良生駒市・北田原の山中の池まで歩きました。岸に坐って眺めていたら、岸に垂れる葉桜の葉に、水陽炎が映って揺れていました。まるで、緑の炎が水面から上がっているようでした。
    奈良の北の山に池あり桜あり
    岸に坐ればときおり届く青葉風
    岸の桜の花は早くも葉となれり
    葉桜に緑の炎水陽炎


    七つ目の星は背の上てんと虫(男声女声)        常朝  (演奏時間     2:08)

注:2017年5月京都府精華町柘榴地区の山から乾谷までを歩きました。途中の池の北側の細道の土手で休憩していたらてんとう虫が一匹飛んできて左手に止まりました。よく見ると、7つ目の黒い星は丁度背中の上にありました。いつも背中に星を乗せて飛んでいるようです。                   洛南の谷に池あり木立あり
    土手に休めばてんと虫
    我が手にとまり背を見せし
    七つ目の星は背の上てんと虫


28花の雨

   安万呂の墓を鎮めて花の雨(女声男声)        常朝    (演奏時間 1:50)

注:2012年4月奈良市東の此瀬町の大安万侶の墓を訪ねました。墓は茶畑の斜面にあり、登ろうとすると雨が降って来ました。見上げると供花のように桜が満開でした。桜に降る静かな雨が1300年もここで眠っている安麿呂の墓を鎮めているようでした。
    奈良の東の茶畑に
    古事記なしたる人眠る
    祈れば降りきし花の雨
    安万呂の墓を鎮めて花の雨


     田に映り飛びゆく蛍ことのほか(女声男声)    常朝    (演奏時間 1:34)

注:2015年6月奈良・飛鳥川の飛び石に蛍狩りに行きました。
夕茜の空の下、蛍を待っていると一匹二匹と下流の藪から光が見えました。
しばらく川岸で蛍を見たあと、県道に戻って、川を見下ろしたら、蛍が岸から離れて田の上を飛びました。田植え前の水に蛍が映って数が二倍になったようで格別きれいでした。
    古きより飛び石残る飛鳥川
    夕茜待てば夕闇迫りきて
    川面から田の面へ蛍二つ三つ
    田に映り飛びゆく蛍ことのほか

この飛び石は万葉集の 明日香川明日も渡らむ石橋の遠き心は思ほえぬかも 巻11-2701
に詠まれている石橋です。


      芭蕉聞きし雲雀の声か細峠(女声男声)      常朝    (演奏時間 2:15)

注:2019年5月子供の日、桜井市鹿路から細峠を経由して竜在峠に登りました。
細峠を右へ(西へ)折れて歩くと雲雀の声が聞こえました。
細峠には芭蕉の句碑「ひばりより空にやすらふ峠かな」があります。
まさしく雲雀はやや下の方から聞こえたので、
芭蕉もこのように雲雀の声を聞いたのだろうか、と昔を思いました。
    鹿路から竜在峠への山の道
    細峠には芭蕉句碑
    ひばりより空にやすらふ峠かな
    芭蕉聞きし雲雀の声か細峠


      淋しげに見ゆる桜の花盛り(女声男声)       常朝    (演奏時間 1:58)

注:2019年4月平成最後の31年の春、近くの富雄川岸を歩いたら大きな桜の木々が満開でした。桜並木なので、孤立しているわけではないのですが、すべてがなんとなく淋しげに見えました。見事な花盛りなのでこれからは散るしかないと感じたからでしょう。
    平成の最後の春はたけなわよ
    川沿いの土手に桜の並木あり
    どの木も今や花盛り
    淋しげに見ゆる桜の花盛り

      金剛の時間水とて田水引く(男声女声)       常朝    (演奏時間 1:45)

注:2007年5月奈良・御所市金剛山のふもと伏見あたりを歩きました。
金剛山の水で育つ米は美味しいですが、水は貴重なので田毎に時間を決めて分水します。それを時間水というらしいですが、そのために小さな時計塔がふもとの畦に立っていました。
    金剛山ふもとに番水時計立ち
    貴重な水を田に分かつ
    葛城のおいしい米に育つべく
    金剛の時間水とて田水引く

27初燕

      環濠の水面狭しと初燕(男声女声)           常朝    (演奏時間 1:30)

注:2017年4月奈良・桧原神社から天理市・竹の内の環濠集落を訪ねました。環濠の土手には桜が咲いて、水面にも花びらが散っていました。燕が2、3羽狭い環濠を飛んで、時々水面を叩いていました。その年初めて見た燕でした。
   山の辺の道にありたる集落に
   昔の環濠跡ありし
   その岸の桜を抜けて燕来し
   環濠の水面狭しと初燕   


    廃線のランプ小屋にも若葉風(男声女声)    常朝   (演奏時間 1:40)

注:2010年6月奈良・大仏鉄道跡を訪ねました。鉄道は明治31年から40年まで開業していた奈良・大仏駅から加茂駅までの鉄道跡で、駅跡公園とトンネル跡しか残っていませんが、昔石油を保管した煉瓦作りのランプ小屋が加茂駅に残っていました。
   その昔蒸気機関車走りたる
   鉄路の跡にランプ小屋
   煉瓦に煙かかりしか
   廃線のランプ小屋にも若葉風


   目の前に斎王おはす賀茂祭(男声女声)      常朝    (演奏時間 2:30) 

注:2000年5月15日京都葵祭(賀茂祭)に参列しました。雨のため一時行列が止まりましたが、再開されて我々の前に斎王の輿がきました。そこで行列がしばらく止まったのでしっかり斎王を拝見でき、KBSラジオのインタビューも受けました。


   じゃがいもの花鳥の影通り過ぐ(男声女声) 常朝   (演奏時間 1:55) 

注:1990年5月住んでいた世田谷区玉堤から二子玉川までの多摩川土手を歩いていたら当時はまだ畑が多く、ジャガイモの紫の花が咲いていました。見ていると、鳩か何かの鳥影が花の上をすばやく横切ったので驚きました。


   朴青葉高高とある吉野かな(女声男声)  常朝    (演奏時間 1:49) 

注:2014年6月奈良・東吉野村の天好園を訪ねました。途中、166号線の新木津(しんこづ)トンネルを抜けて 100メートルほどの左手に、前登志夫の
「朴の花たかだかと咲くまひるまをみなかみにさびし高見の山は」  の歌碑があります。そばに朴(ほう)の木が数本あり、どの木も大きな青葉がきれいでした。


26梅に鶯

   できすぎよ梅見てをれば鶯も(男声女声)  常朝    (演奏時間 1:50)

 注:2014年3月京田辺の高船を訪ねました。
高山溜池(くろんど池)の東の高船口からゆるい坂を登ると途中に羊小屋があり、この日は羊が放たれて田の草を食べていました。そばに梅が咲いていたので眺めていたら、なんと鶯が枝に飛んできて止まりました。梅と鶯を同時に見たのは生まれて初めてで幸運でした。 
   高船は京と大和の国境
   高船へ登る谷坂春浅し
   羊小屋脇に咲きたる梅白し
   できすぎよ梅見てをれば鶯も

      みな笑顔桜並木に逢ふ人は(男声女声) 常朝    (演奏時間 1:45)  

注:2010年4月奈良・大渕池から山陵町あたりまで秋篠川の桜並木を歩きました。桜が実に満開で天気も最高だったので、すれ違う人達は皆笑顔でした。
    大渕の池源流に
    流るる川の川沿いに
    桜並木のつづきをり
    皆笑顔桜並木に逢ふ人は

   回りつつ輪を狭めけり鴨の陣(男声) 常朝    (演奏時間 1:50) 

注:2018年1月末奈良・大和民俗公園へ行った帰り、大和田城の北の池を訪ねました。たまたま鴨が20羽くらい集まっていて鴨の陣を作っており、そのうち鴨たちが時計回りに回転をはじめました。見ているとその輪が段々と狭くなってきて、そのうちの1羽が輪から抜けてしばらくして元に戻りました。何のために回転をしているのでしょうか。

    城跡に近き池あり波静か
    鴨の群集まり回る鴨の陣
    抜け出し戻る鴨もおり
            回りつつ輪を狭めけり鴨の陣

   吉隠の寺に一樹の冬紅葉(男声)  常朝     (演奏時間 1:50) 

注:2015年11月奈良・桜井市の吉隠(よなばり)を訪ねました。
ここは、天武天皇の穂積皇子がなき但馬皇女を偲んで詠んだ万葉集の歌
「降る雪は あはにな降りそ 吉隠の 猪養(ヰカヒ)の岡の 寒からまくに」
に詠まれた地です。
実生の楓を取りに来ていた地元の男性に、教えてもらい極楽寺(無住寺)を訪ねました。1400年も経った今、但馬皇女のお墓の場所はわからないらしいですが、冬紅葉が一樹きれいで皇女への供華のようでした。(原曲:Orpheus作曲)

    吉隠の冬は寒しや山中に
    但馬皇女の墓ありと
    いへど見ゆるは山ばかり
    吉隠の寺に一樹の冬紅葉

   枯芒触るれば温みありにけり(男声) 常朝     (演奏時間 2:10) 

注:2011年12月京都山田川から木津川の上河原を訪ねました。川面には鴨の群が全身揺られており、岸の枯れ芒に触れると猫の毛のように柔らかく暖かでした。12月にしては良い日差しだったのでしょう。

    大川の川面に鴨の群揺れて
    河原に師走の日差あり
    岸辺に一群枯芒
    枯芒触るれば温みありにけり

25磐座

   磐座に木の葉落つるを待ちゐたり(男声) 常朝  (演奏時間 1:57)  

注:2013年11月奈良・生駒市矢田遊歩道のドンデン池から小明町の稲倉神社を訪ねました。説明板によると明治以降、兵隊のがれ祈願の神社として信仰を集めたようです。ここには烏帽子岩と呼ばれる高さ6メートルの磐座があります。磐座に木の葉が散るのを見ようと待ちましたがなかなか散ってくれませんでした。(原曲:Orpheus作曲) 

    矢田丘の麓の谷に神社あり
    高き木の下に鎮座の大岩は
    烏帽子の形の神の岩
    磐座に木の葉落つるを待ちゐたり


    大川の曲がりおほらか桑紅葉(男声) 常朝  (演奏時間 1:35) 

 注:2012年11月奈良・川西町の糸井神社を訪ねました。太鼓踊りの絵馬など見てから、寺川に出ました。橋のたもとに桑の木があり、きれいに黄葉しています。上流を見ると広い川が左へおおらかに曲がってゆったりと流れていました。どこかで見たような景色でもあり心が落ち着きました。(原曲:Orpheus作曲)

    太鼓踊りの絵馬ある社は川ほとり
    岸の桑の樹黄葉せり
    踊りの輪の如く曲がれる大川よ
    大川の曲がりおほらか桑黄葉 


  山門は明智の城門冬紅葉(男声) 常朝     (演奏時間 2:26) 

注:2017年11月菊ずくめの料理・菊御膳をいただくため、近江の西教寺を訪ねました。参道には鬼の大津絵を描いた灯籠が置かれ、冬紅葉がきれいでした。

山門の説明文にはこの地の名君と言われた明智光秀の城門が移設されたとありました。
    菊ずくしの御膳いただく大寺は  (原曲:Orpheus作曲)
    光秀ゆかり琵琶湖のほとり
    見事なる紅葉もさらに馳走なり
    山門は明智の城門冬紅葉


 お目当ての小豆粥出て十夜寺(男声) 常朝   (演奏時間 2:11) 

注:2008年11月いつもの俳句メンバーで奈良・法徳寺のお十夜に参列しました。お十夜は浄土宗の念仏会ですが、小豆粥が振るまわれると聞いて喜んで参列、長いお経と説教が終わると期待通り小豆粥がでて美味しくいただきました。がまんの甲斐がありました。

    奈良町の古きお寺の念仏会
    昔は十日十夜もお経あげたると
    秋の夜にあまた集いし本堂に
    お目当ての小豆粥出て十夜寺


     威銃谺の方が強かりし(男声)   常朝   (演奏時間 2:01)

注:2014年8月京都精華町の田んぼの並ぶ山田川沿いに歩いていたら、突然威銃が「どん」となり、川の北側対岸の小山の崖にこだましてバキューンというような音がしました。谺(こだま)の方が音が相当強くて驚きました。

    川沿いに早くも稔る早稲田あり
    歩めば飛び立つ稲雀
    驚かすいきなり響く威銃
    威銃谺の方が強かりし

24棗の実

  文机にひとつづつ減る棗の実(男声女声)  常朝   (演奏時間 1:58)

注:2015年10月奈良・奥明日香の入谷から桜井市鹿路(ろくろ)を訪ねました。途中の坂道に棗(なつめ)の木が一本沢山の実をつけていました。あまりにきれいな実だったので5、6個ほど失敬して、自分の机の上の皿に置いて眺めていましたが、そのうち食べたくなって毎日一つづつ食べました。
    明日香から芭蕉通りしろくろ道
    急坂にありし一樹のなつめの木
    いただきし赤紫の実の五つ
    文机にひとつづつ減るなつめの実 


  鳰浮くを百まで数え待ちにけり(男声女声)  常朝     (演奏時間 2:10)

注:1993年11月近くの奈良・大渕池を歩きました。冬になると水鳥が多く来ますが、この日は鳰(にお)だけが、2,3羽潜ったり泳いだりしていました。1羽が潜ったあと百まで数えたが出てきません。あわれ水に溺れたのかと思ったのですが、おそらくここから見えない所に浮き出たのでしょう。(原曲:Orpheus作曲)
    美術館うしろに見ゆる大き池
    さざ波の広がり来たる岸辺にて
    水鳥さがせば鳰いたり
    鳰浮くを百まで数え待ちにけり


  静けさを楽しみゐるや二羽の鴨(男声女声) 常朝   (演奏時間 2:07)  

注:2018年10月奈良・大和民俗公園を訪ねた帰り、奈良・大和田城跡の北500メートル位の所に60メートル四方の池がありました。柵で囲まれていますが、奥の方に鴨が二羽静かに浮かんでいました。あたかも静けさと穏やかさを楽しんでいるようでした。(原曲:Orpheus作曲) 薮を背に城跡近き池ありて

    白雲映す天高し
    よく見れば奥に番か鴨ゐたり
    静けさを楽しみゐるや二羽の鴨


   乗馬して少女廻れり穂草原(男声女声)  常朝      (演奏時間 1:50)  

注:2012年10月木津川の下河原を歩くとテニスコートの北側に乗馬クラブがあり、大きな木の周りを2、3頭の馬が騎手を乗せて歩いていました。その中に少女もいて、手綱さばきも上手に、穂草の中を悠々と騎馬練習をしていました。
    大河原の乗馬クラブに秋高し
    大木を囲む広場を馬場として
    穂草揺らして馬進む
    乗馬して少女廻れり穂草原


  いつまでも綿虫宙に用事なし(男声女声)   常朝      (演奏時間 2:10)

注:2011年10月京田辺の水取から打田への谷道を歩きました。途中の坂道では綿虫が数匹飛んでいます。見ていると疲れを知らないようにいつまでも宙に浮いている。彼らには飛ぶ以外まったく用事がないようでした。(原曲:Orpheus作曲)
    谷沿いの道の片側大岩も
    峠に近き曲り道
    綿虫のゆっくり飛べり秋の谷
    いつまでも綿虫宙に用事なし

23松虫

  藤棚を小舟に乗りて剪定す(男声女声)      常朝      (演奏時間 1:53)

注:1994年9月東京・港区の愛宕山は当時勤務の会社に近かったので昼休みなどによく登りました。夏も終わりましたがまだ暑く、愛宕神社の木々は茂っています。小さな池の上に掛かる藤棚の藤は庭師が小舟に乗って剪定していました。

    愛宕の山木々は茂れど秋暑し
    見上ぐれば石段高く蝉の声
    境内に小さき池あり藤棚も
    藤棚を小舟に乗りて剪定す

  松虫や木の間に大極殿見えて(男声女声) 常朝      (演奏時間 2:07) 

注:2015年9月平城宮跡に二十三夜の月待ちに行きました。二十三夜は満月のあとの月が夜遅く出るのを見るのですが、お天気に恵まれ下弦の半月を見ることができました。大極殿を北西に見る草原の道を歩くと、コオロギの声のなかに「チンチロリン」という、特徴のある松虫の声が聞こえました。これほどはっきり松虫を聞いたのは生まれて初めてでした。(歌詞:4行詩)
   平城京跡に二十三夜の月出でて
   木の間に見ゆる大極殿
   草原に松虫の声くっきりと
   松虫や木の間に大極殿見えて

  八つまで叩きて止みし鉦叩(男声女声)   常朝   (演奏時間 2:40) 

注:2004年9月夜家の庭に鉦叩が鳴きました。注意しないと聞き逃すほどの小さい音でチン、チンと8つまで叩いて止みました。次に叩くまで相当時間がありました。2010年頃から鳴かなくなりました。4行詩にして作曲しました。(原曲:Orpheus作曲)

    家の庭九月の夜は更けゆきて
    空には雲か月見えず
    端居しておれば鳴き出す鉦叩
    八つまで叩きて止みし鉦叩   

  山小屋の蛇口閉じずよ風露草(女声男声)      常朝  (演奏時間 1:51)  

注:2006年7月長男一家と5人で西穂高山荘まで登りました。夜の山小屋から見た星空は美しかったです。降りる途中の山小屋近くにピンクの風露草が咲いて、そばの蛇口は水が出っぱなしでした。試みに下記の4行詩にして作曲しました。(原曲:Orpheus作曲)
   どこまでも空は青くて西穂高
   山荘の星座の光忘れ得ず
   下山する道に桃色風露草
   山小屋の蛇口閉じずよ風露草

   何事も起こらず小さき蜘蛛の巣に(女声男声)  常朝  (演奏時間 2:22) 

注:1989年10月奈良・長弓寺の境内から奥の裏参道の細道を歩いたとき、そばの木に
小さな蜘蛛の巣が掛かっていました。
蝶や虫が飛んでいたのでしばらく見ていましたが何事も起こりませんでした。

22水馬の影

  水馬機械の如き影落す(男声女声)      常朝     (演奏時間 1:43)  

注:1991年5月当時住んでいた東京・世田谷玉堤から多摩川園へ時々歩きましたが、
そこの亀甲山古墳のそばに小さな池があります。アメンボウ(水馬)が泳いでいて底のコンクリートに精巧な機械のような影を落としていました。今でいえば水中のドローンのようでした。

  かなかなの声波のごと寄せて引く(女声男声) 常朝     (演奏時間 1:40)

注:2015年8月奈良生駒市の富雄川から北田原の山中の池まで歩きました。
池を見ていたら、ひぐらしが「きちきちきち」と鳴き始めました。
聞いていたら鳴き声は強くなったあと、弱くなったりまた強くなったりと波のようでした。

  かきまぜる前からこぼしはったい粉(女声男声) 常朝     (演奏時間 1:35)

注:2011年6月久しぶりに[はったい粉]を食べました。
昔のように砂糖を入れて水でかき回しますが、カップに入れるときから粉をこぼしました。子供の頃よく粉をこぼした事を思い出しました。

  空蝉や鬼取村といふならし(男声女声)    常朝     (演奏時間 1:25)

注:1992年8月奈良と大阪の県境・暗峠を訪ねました。石畳の峠道のはずれには湧き水があり、雨蛙がいてそばに空蝉が落ちていました。このあたりは昔鬼取村といい、役行者が生駒山の鬼を捕らえ、髪を切って弟子としたので、髪切山ともいう慈光寺があります。訪ねましたが誰もいませんでした。

  梅花藻の花揺れ続けぶつからず(女声男声)  常朝     (演奏時間 1:58)

注:2011年8月滋賀の醒ケ井を訪ねたました。ここは湧水の地蔵川に梅花藻が美しい所で、我々が訪ねた時はちょうど良い花の時期でした。水中の花がやたら多いので風や波でぶつかりそうですが、意外にぶつからず美しい景色を見せてくれました。

21師の句碑

    師の句碑に炎天時をとどめたる(男声女声)     常朝     (演奏時間 1:45)

注:2010年7月奈良・学園前の峰の寺「阿弥陀寺」を訪ねました。この寺には運河で指導いただいた山中麦邨先生の句碑「ここが炎天の中心かと思ふ」があります。この日も炎天で、木陰を探しながら境内を歩きました。句碑を見ていると炎天の時間はそのまま止まっているようでした。

    どの堂も清水巡らせ行者寺(男声女声)     常朝     (演奏時間 1:40)

注:2013年7月奈良・天川村洞川の龍泉寺を訪ねましたた。
この寺は大峰山の行者が立ち寄り、身を清める修行の寺ですが、湧き水が境内を潤し、湧き水の水行場があります。本堂や神聖殿、庫裏など、どのお堂の周囲にも溝があり清水が流れていました。(原曲:Orpheus作曲)

    桧皮葺濡るる如くに今日の月(男声女声)     常朝     (演奏時間 1:42)

注:2007年9月奈良・三輪大社の観月会に参加しました。
拝殿を見上げると月の光に照らされて檜皮葺の屋根が美しく濡れているようでした。
まるで月の雫が三輪の森に降ったように。

    鬼取の谷ゆるがして威し銃(男声女声)     常朝     (演奏時間 2:02)

注:2011年9月奈良大阪の国道308号線の県境の暗峠を再び訪ねました。
鬼取茶屋の女将に庭の花の名を聞くと「蝶のよる木」と言われました。そんな名の草はあるのかなと見ていたら近くで威銃が峠の谷を揺るがして鳴りました。(原曲:Orpheus作曲)

    蛇泳ぎ切つたるあとの静けさよ(女声男声)    常朝     (演奏時間 2:00)

注:2011年5月奈良富雄川を大和田町日高大神の行者滝まで歩きました。
途中の山池を突然 蛇が泳いで対岸まで進みました。
泳ぎ着いたあと蛇は消えましたが、山池は前より不気味なほど静かになりました。
(原曲:Orpheus作曲)

20青嵐

 目の中に山が一ぱい青嵐(男声女声)      暮石  (演奏時間 1:40)

注:1992年5月頃右城暮石先生が長年住まれた奈良から故郷の土佐本山町へ4月に帰郷されたあとの御句で、平易な言葉なのに土佐の山々をゆるがすような青葉の嵐が目にみえるようです(第六句集散歩圏)。このようなやさしい言葉でインパクトのある句を作れるようになりたいものです。(原曲orpheus作曲)

 蚊遣にと祖母焚きくれし松小枝(女声男声)   常朝 (演奏時間 1:55)

注:2006年7月蚊取り線香を出す時期となりました。線香を見て、昔子供の頃、夏休みに母の里の梨園の山の家で、祖母が蚊取り線香の代わりに、松の小枝を土間で燻べてくれたのを思い出しました。祖母へ感謝をこめて。

 葛城の后の里の薊かな(女声男声)      常朝  (演奏時間 2:00)

注:2005年5月奈良・御所市葛城高宮跡を訪ねました。ここは仁徳天皇の后・磐之媛の実家葛城氏の居館の跡とされています(極楽寺ヒビキ遺跡)。道路東側の遺跡は調査後埋め戻されていますが、周囲の畑の溝に水が走り、雉が鳴いてそばの小さな藪には夏薊(アザミ)が咲いていました。

 草むらを分けゆく子らの水遊び(女声男声)   常朝  (演奏時間 1:38)

注:1981年6月当時住んでいた調布市の多摩川には大きな中洲ができていて、そこは子供たちの絶好の遊び場でした。中洲の背の高い芦原を分け入って中洲の向こう岸まで行き水遊びをしていました。母親が呼びに行くまで。

 端居して庭草叩く雨を聞く(男声女声)        常朝  (演奏時間 2:05)

注:2010年6月数年前軒下に濡れ縁を自作しました。梅雨の雨が一日中降りそうだったので、外出はあきらめ縁側に坐って庭草をながめ、草を叩く雨の音を聞いていると落ちついてきました。

19シャカシャカ祭


注:2018年6月5日奈良・橿原市上品寺町のシャカシャカ祭を訪ねました。
藁で編んだ7メートルもの大蛇を子供たちが担いで町内を歩き災難が無いよう祈る祭ですが、当家の庭では2、3人の男性が藁で蛇を編み、赤布の舌を付けていました。名の由来を聞くと地元の男性は忘れたというので、インターネットで調べたら薮を動く蛇の音だったようです。

 河鹿鳴く川瀬に光あふれゐて(女声男声)     常朝 (演奏時間 1:43)

注:2017年6月奈良・丹生川上神社中社の水神祭に参列したあと、すぐ近くの夢の淵(わた)を訪ねました。夢の淵には小さな滝と深い淵があり、そばの岩から川面を見ると、日差しに浅瀬がきらめいています。しばらく川瀬を見ていたらリリリリリリ と河鹿が鳴きました。(原曲:orpheus作曲)

 すこやかに老ゆるが仕事菖蒲の湯(男声女声)  常朝 (演奏時間 2:00)

注:2017年5月長い菖蒲の葉が2、3本浮く湯に浸かりました。
浮かぶ菖蒲の根元はほの赤く、香りも浴室いっぱいに広がり、元気をもらいました。この年(77才)にもなると健康に生きるのが仕事、と思いました。(原曲:orpheus作曲)

 早乙女に牛握手してお田植祭(男声女声)     常朝 (演奏時間2:15)

注:2013年6月30日奈良・石上神宮のお田植祭と夏越祭を訪ねました。
この日は石上神宮から神剣の行列が出る神剣渡御祭ののち、末社の神田神社でお田植祭があり神剣を立てた斎庭で、作男と牛が出て田耕をし、早乙女が苗を植える仕草をします。その前に、牛役が被った黒衣から手を出して早乙女と握手をしたのは愉快でした。 

 平らなるものの極みよ植田澄む(男声女声)   常朝 (演奏時間 1:30)

注:2019年6月京田辺市の山田川沿いに木津川の方へ歩いたら、右手に田植の終わった植田が並んでどの田も水がきれいに澄んでいました。水田はまったく水平の緑なので、心が安まります。世の中に、これほど広くで水平なものは、他にあるだろうかと思いました。

18源流

 岩窟は賀茂の源流滴れり(男声女声)         常朝 (演奏時間1:55)

注:2011年6月京都雲ケ畑の惟喬神社から志妙院を訪ねました。寺の奥に岩窟があり、中の岩から雫が落ちています。説明板によるとここは賀茂川の源流のひとつだそうです。周囲の青葉がきれいでした。

 火を消して飛ぶとき疾き蛍かな(男声女声)  常朝 (演奏時間1:45)

注:2011年6月奈良・飛鳥柏の森の男縄の上流、飛び石に蛍狩りに行きました。
暗くなるまで待っていたら河鹿が鳴いて、少し下流の木立から蛍が点滅しながら飛ぶはじめました。よく見ていると火を消している時は速く飛んでいるようでした。

 おももちは子雀の声聞きおはす(男声女声)   常朝 (演奏時間1:54)

注:2005年6月奈良・唐招提寺の開山忌に参列しました。今は鑑真和上像はその身代わり像が安置されて年中公開されますが、この頃は開山忌期間中のみ、実物が公開されました。開山堂でお像を拝すると目をつぶって庭の子雀らの声を聞いておられる面持ちでした。((歌)は歌声つき)

 鮴泳ぐ時くつきりと底に影(男声女声)     常朝  (演奏時間1:40)

注:2001年7月奈良・吉野川の鮎釣りを見た後、東吉野村の中井渓谷自然塾を訪ねました。夏休み中で子供たちが20人位、渓谷の川で遊んでおり、川の澄んだ水を見ていたら、
鮴(ごり)がいました。底から浮いたときその影が本物よりくっきりと黒く見えました。

 夏草や水星沈む多摩の丘(男声女声)       常朝 (演奏時間2:17)

注:1981年6月調布市に住んでいた頃、新聞で普段見えない水星が見えると知り、夕方西の空を見たら多摩の丘陵の上に大きな星が見えました。生まれて初めて見た水星でした。上石原の家の西側の畑の畦には早くも夏草が茂っており、水星はゆっくり沈んでいきました。

 葭切や色落ちつきし朱雀門(男声女声)       常朝 (演奏時間2:25)
 
注:2007年7月平城京跡・朱雀門を訪ねました。1998年復元が完成した頃は、朱の色も明るくいかにも復元したという感じでしたが、9年も経つと色も落ち着いてそれなりに風格が出てきました。それを喜ぶように近くの草原で葭切が元気よく鳴いていました。

17つくつくし


注:2019年9月大和郡山市大和田町の行者滝を訪ねました。途中の谷道は法師蝉が「つくつくほうし、つくつくほうし」と繰り返し鳴いています。夏が過ぎて、過ぎてゆく季節、色々な行事や生き物たちを法師蝉も惜しんで鳴いているのかもしれないと思いました。(原曲:おんごく(歌:youtube):昔大阪の盆の女童の行列の唄)


 腰越は鎌倉近し山桜(男声女声)          常朝  (演奏時間1:43)

注:1999年4月江ノ島の腰越へ会社の釣りクラブで海釣りに行きました。帰りに車で134号線を走ると道路の左の土手に山桜が咲いています。腰越から鎌倉はわずか数キロなのに、昔義経は兄頼朝にここで足止めされて鎌倉に入れず、兄に釈明もできず京へ戻ったとのことです。 

 梅林を巡る缶酒尽くるまで(男声女声)      常朝  (演奏時間1:40)

注:2007年2月奈良の追分梅林で地元の人達が運営する屋台で温かい缶酒を買いました。少しずつ飲みながら酒がなくなるまでゆっくり梅林を歩きました。気分は最高でした。

 鳰の子のひとり遊びをしてゐたる(男声女声)   常朝   (演奏時間1:38)

注:20011年10月奈良大和民俗公園を訪ねました。菖蒲園のそばの池に鳰の子が1羽だけいて、水に潜ったり泳いだりしていました。邪魔するものがいないので、好き勝手に遊んでいました。(原曲:お手玉唄一人でさびし)

 葭切や色落ちつきし朱雀門(男声女声)        常朝 (演奏時間2:25)
 
注:2007年7月平城京跡・朱雀門を訪ねました。1998年復元が完成した頃は、朱の色も明るくいかにも復元したという感じでしたが、9年も経つと色も落ち着いてそれなりに風格が出てきました。それを喜ぶように近くの草原で葭切が元気よく鳴いていました。

16花時計

 啓蟄やかたりと進む花時計(男声女声)  常朝  (演奏時間1:50)

注:2010年3月京都精華町のけいはんな花空間(現在:京都府大精華キャンパス)を訪ねました。入り口に大きな花時計があって、見ていると一分毎にカタリと音を立てて針が動きます。土中の虫が動き出すという啓蟄のころ、一分毎に春が近づくような気がしましたた。(原曲:orpheus作曲)

 楽しげな大日供会に交じりたし(男声女声)     常朝  (演奏時間2:00)
  
注:1992年3月22日御所市・巨勢寺跡を訪ねました。線路に挟まれた跡には大日堂があり、そこでは10人位の地元の主婦達が、大日供会を楽しそうにしていました。我々は旅人なので、座に入るのは遠慮しました。できれば地元の祭などの話を聞きたかったです。(原曲:あんた方何処さ)

 菜の花の金色浄土に遊びたし(女声男声)      常朝  (演奏時間1:50)

注:2015年3月22日奈良・生駒市の高船口から京田辺の高船まで歩く途中羊小屋から羊の声がして、そばの菜の花畑は満開で白い蝶も飛び、ぎっしり詰まった花の空間は浄土のようでした。(原曲手毬唄:四方の景色)

 顔を寄す顔の高さの梅の花(女声男声)    常朝  (演奏時間1:44)

注:2007年2月奈良市西南の砂茶屋から追分梅林を訪ね、売店で缶酒を買い、飲みながら梅林を歩きました。梅の花は高さがそれぞれですが、少し酔っぱらいながら顔の高さの花に顔を寄せました。(原曲:orpheus作曲)

 針掛かり見事に逃げし青葉鱒(男声女声)   常朝  (演奏時間1:45)

注:1986年夏、親戚の蓼科別荘から家族で釣りに行きました。たしかにマスが針に掛かったのですが、見事に逃げられました。結局この日は父子3人で5匹しか釣れませんでした。(原曲:orpheus作曲)

15嬰抱きて


注:2002年7月長男の家新築・移転などで初孫を何度か預かりました。そのときは汗ばむ子を抱いて寝かせるのにサマータイムを唄いました。ミュージカル「ボギーとペス」の子守唄で、最後の歌詞が気に入っていました。(原曲:坊やはよい子だ)

 ポン菓子を買い得て出れば春の雪(男声女声) 常朝  (演奏時間2:20)

注:2018年2月前年の12月中学校のクリーンデイ(環境掃除の日)で懐かしいポン菓子をいただき、なくなったので買おうとしたが近くの店では売っていません。やっと少し離れたスーパーで買えて、喜んで店を出たら春の雪が降っていました。少しの間ですが昔に戻った気分でした。(原曲:雪やコンコン)

 娘の立てし泡をほめもし初点前(男声女声) 常朝  (演奏時間1:26)

注:2019年1月正月に帰省した子の発案で長く使わなかった部屋の炉を使ってお茶会をしました。中学の孫娘が母親に教わりながらお茶を立て、茶筅を使い泡がきれいにできたので、皆がほめながら初茶をいただきました。(原曲:羽根突き唄ひとめふため)

 下通るときのうれしさえごの花(男声女声)   常朝  (演奏時間1:30)

注:2016年5月奈良・王龍寺から鳥見町のあひる池を訪ねました。王龍寺のもと寺領の道脇にはエゴノキが咲いており、道の上に伸びた枝からもえごの花が小さな釣鐘状の花をぶらさげていました。地味ながら白い美しい花の下を通るときは、なんとなく華やいで嬉しい気分でした。(原曲:子守唄ねんねころいち)

 野営火は娘らのしぐさにはなやいで(男声女声)常朝 (演奏時間1:33)

注:1979年7月長男が入ったボーイスカウのキャンプにデンダッド(チームの父親役)として参加、キャンプファイアにリーダーの女子高生らも参加して歌やダンスを指導しました。キャンプファイアもおかげで華やいだ雰囲気となりました。(原曲:花いちもんめ)

14花御堂

 み仏のおなかぽっこり花御堂(女声男声)  常朝  (演奏時間1:50)

注:2012年4月8日奈良飛鳥寺の花祭りに参列しました。広くもない本堂に花御堂が作られ、誕生仏がかわいいお腹をぽっこりふくらませて立っておられました。花御堂周辺だけが別世界のように華やいでいました。(原曲手毬唄:一番始めは。)

 猪垣の中に山門宇陀の寺(男声女声)     常朝  (演奏時間1:48)

注:2018年9月奈良・宇陀市の仏隆寺を訪ねました。宇陀市といっても山の中の寺なので、猪や鹿が出るらしく山門への坂の途中に猪垣があり、手で扉を開け閉めしないと入れません。有名な彼岸花はまだ蕾でしたが沢山白い茎を伸ばしていました。昔いたと思いますが猫はいませんでした。(原曲:山寺の和尚さん)

 筒鳥や人麻呂の妹眠る山(女声男声)     常朝   (演奏時間2:00)

注:2004年5月奈良・天理市の竜王山に自転車で登りました。途中の山道はふすま(衾)路といい奈良時代は墓地で柿本人麻呂の妻も眠っています。人麻呂はどんな思いでこの道を登ったでしょうか。山道に入ると筒鳥がぽーーん、ぽーーんと鳴きました。(原曲:通りゃんせ)


注:2006年3月木津川市のクローバー牧場を訪ねました。
牛小屋の奥の方には子牛が数頭いて、どの子牛も我々を恐れずに見ていました。
子牛たちの目はまるで、小屋から連れ出してと言っているようでした。(原曲:かごめかごめ)

 神山に月登れりと声あがる(男声女声)     常朝  (演奏時間1:45)

注:2007年9月奈良・三輪大社の観月会に参加しました。祈祷殿の庭から三輪山を仰ぎましたが、なかなか月が出ません。すると、誰かが「月が出た」と声を上げました。神の山から登る月は、まことにきれいでした。(原曲:うさぎうさぎ)

13秋の水馬

   ひかりのみ見えしは秋の水馬(女声男声)    常朝        (演奏時間1:54)
 
注:2007年9月吟行のいつものメンバーで奈良東吉野村・天好園を訪ねました。庭園の奥に小川があり、流れの中にキラキラ光るものが見えました。よく見ると水馬(アメンボウ)でした。

   亀岩は船着場跡冬紅葉(女声男声)          常朝  (演奏時間2:05)

注:2011年12月信貴山を降りて大阪柏原市の雁多尾畑へ行くと、昔大和川の船着場のあった亀の瀬があり、神社下から川を見下ろすと亀の瀬の亀岩が見え、周囲は冬紅葉がきれいでした。ここから上流へは小さな舟に荷物を積み替えたようです。

 浮図田の砂利に遊ぶ子地蔵盆(男声女声)  常朝  (演奏時間2:07)

注:2015年8月奈良・元興寺の地蔵盆に参列しました。4時頃から若い人達が境内の五輪塔や浮図田(ふとでん:ふとは仏陀、仏塔)の多くの石仏に灯明皿を置き、
5時から法要、6時から琴尺八の演奏でしたが、始まる前は子供達が浮図田の砂利で遊んでいました。(原曲:ずいずいずっころばし)

 蝌蚪泳ぐぶつかるまではまっすぐに(男声女声) 常朝 (演奏時間1:54)

注:1996年3月世田谷区の次大夫堀公園を訪ねました。中に小さな川があり、ゆるい流れにおたまじゃくしが沢山泳いでおり、見ているとたいていの子等は相手にぶつかるまでまっすぐ泳いでいました。どのくらい大きくなるとぶつからなくなるのでしょうか。(原曲:一匁の一助さん)

   生きるとは選びゆくこと土筆摘む(男声女声)     常朝 (演奏時間2:00)

注:2009年4月テレビで平成天皇皇后両陛下が皇居内の原で土筆を摘まれていました。天皇が后に「その土筆の方がいいよ」とか言われながら摘まれていました。
考えてみれば土筆摘みどころか、人生すべて選択の連続だったと思いました。
自分の選択が良かったかどうかはわからないが、良かったと思うしかないでしょう。

12烏瓜


 公家谷の水清らかに烏瓜(男声)       常朝  (演奏時間 1:43) 

注:2007年11月京田辺市・普賢寺地区を歩きました。関白近衛基通公が隠居された公家谷があり、その谷のきれいな水の上に、赤い烏瓜が掛かっていました。基通公も見たのでしょうか。

 雲雀鳴き止めば大和は静かなり(男声女声) 常朝        (演奏時間1:43)

注:2003年3月奈良・富雄川・砂茶屋の南を歩いていたら西側の田園の空で雲雀が続け様に鳴いていました。しばらくすると鳴きやみ、あたりが急に静かになり大和盆地全部が静寂に包まれました。

 大仏殿黒々見えて蛍かな(女声男声)     常朝        (演奏時間1:42)

注:2000年6月奈良・東大寺の大仏蛍を見に行きました。大湯屋のそばの小川からは暗い二月堂の灯が見え、右手には大仏殿が黒々と見え、そのうち大きめの大仏蛍がゆうらりと飛んできました。

 ダム囲む山大きくて囀れり(男声女声)     常朝       (演奏時間1:45)

注:2004年5月奈良・川上村の丹生川上神社上社を訪ねました。神社は大滝ダムの南岸の高台にありますが、そこから見えるダムは、周囲が完全に大きな山に囲まれており、どの山からも囀りが聞こえるようでした。


  水掛祭ビルマの美女の水を受く(男声女声)  常朝        (演奏時間1:54)

注:2001年4月退職後、海外協力事業でビルマ(ミャンマー)の統計局コンピュータ・システムの支援で1ヶ月ヤンゴンに滞在したとき、水掛祭に誘われました。市内の道では車の上から若い男性や美女が周囲の我々に水を掛けて回りました。



11通草とり


 通草とり親しき山となりにけり(男声女声)        常朝        (演奏時間1:43)

注:1987年秋奈良・飛鳥カントリークラブの南の山に池があり、その奥に通草(あけび)を見つけました。それ以来この山が好きになりました。

 ゆっくりと落つる木の葉を受け取れず(男声女声)  常朝     (演奏時間1:38)

注:2001年12月奈良・民俗博物館のある矢田公園を訪ねました。高いクヌギの木から枯れ葉がゆっくりと散っていましたが、意外に手では受け取れませんでした。

  平城京船着場跡柳絮飛ぶ(男声女声)              常朝       (演奏時間2:09)

注:2004年5月大和郡山市・九条公園の西の秋篠川の平城京船着場跡を訪ねました。
ここは奈良時代平城京西市のあったところで市場への荷物が陸揚げされた所のようです。川の鯉などを見ていたら、昔の朱雀大路の柳並木からでしょうか、柳絮(柳の綿毛)が飛んできました。

  要塞の跡に船寄せ眼張釣る(男声女声)        常朝        (演奏時間1:45)

注:19984年3月会社の釣りクラブで金沢八景に海釣りに行きました。釣り船一ノ瀬丸は横須賀の猿島要塞跡の海に船をつけたので、人に分けるほどメバルが沢山釣れました。

 椋鳥の先頭曲がり遅れたる(女声男声)     常朝        (演奏時間1:33)

注:1997年9月多摩川原を歩いていたら、椋鳥の500羽以上の大群が川から北の方へ飛びました。途中で大群は向きを下流の方へ変えましたが、その時先頭の鳥は曲がり遅れてしまいました。