35子規庵

       子規庵の糸瓜の花を見てゐたり(男声女声)  常朝    (演奏時間 1:46) 

注:2017年9月孫の高校文化祭を見るため上京した折、根岸の子規庵を訪ねました。少し待って10時から入館し、庭で子規が見ていたであろう糸瓜棚の糸瓜を見ました。
女郎花とともに黄色い花が咲いていました。病床にいながら最後まで庭の花などを見た子規のおかげで俳句が復活しました。
    子規庵はよみがえされし子規の家
    庭に糸瓜の棚もあり
    土蔵のそばに女郎花
    子規庵の糸瓜の花を見てゐたり                

    日本中無月と知りて落ち着きし(男声女声)   常朝   (演奏時間 1:56) 

注:2018年9月24日中秋の名月の日、あいにく空は雲ばかりで月は見えませんでした。テレビのニュースを見ると、日本列島のほとんどが雲におおわれて月見ができないとのことで、全国がそうなら仕方がないと、あきらめて心も落ち着きました。
    中秋の名月朝から夜を待っていた
    けれども空は雲ばかり
    テレビは全国曇りという
    日本中無月と知りて落ち着きし 

    水馬まだあまたゐて暮石の忌(男声女声)   常朝    (演奏時間 2:12) 

注:2008年8月9日私の始めての俳句の先生:右城暮石先生の忌日、諸先輩と京都中山の清閑寺を訪ねました。翌日近くの富雄川に出ると、堰の上には水馬が沢山いました。
先生の「いつからの一匹なるや水馬」を思い出しました。
やはり最後は一匹になるのでしょうか。
    先生の忌日迎えし富雄川
    豊かなる水を湛える堰の上
    あまた元気な水馬
      水馬まだあまたゐて暮石の忌

    子蜥蜴の止まりて何を考ふる(女声男声)   常朝   (演奏時間 2:00)  

注:2021年8月朝庭に出ると、庭石の陰から子蜥蜴が出てきて石に登り、しばらく止まりました。石の上で、どこへ行こうか、餌を探そうかなどと、何かを考えているようでした。言葉が通じれば、何を考えているの、と聞きたい気がしました。
    庭石の陰から子蜥蜴ひょいと出て
    石に登りて止まりたり
    短き停止なれども長く感じるよ
    子蜥蜴の止まりて何を考ふる

    美術館出れば異国の蝉の声(女声男声)     常朝   (演奏時間2:00)   

注:2012年9月長男一家の住むニュージャージーを訪ねたとき、一緒にニューヨークのメトロポリタン美術館を見学しました。若い頃1969年秋会社の研修でニューヨークに3ヶ月滞在したとき以来、41年ぶりの訪問でした。美術館を出ると蝉の声が聞こえました。アメリカの蝉の声でした。そばのセントラルパークでは孫もヨット遊びを楽しみました。(原曲:Orpheus作曲) 
    若き日に訪ねし異国の美術館
    ふたたび訪ねしメトロポリタン
    出れば昔の蝉の声
    美術館出れば異国の蝉の声