36春日浴ぶ

              春日浴ぶやさしき声を聞くごとく(男声女声) 常朝 (演奏時間2:13)

注:令和3年2021年2月下旬、京都府木津川市の西ノ宮神社から大里公園を訪ねました。公園の桜はまだ蕾でしたが、土手に坐り池などを眺め、とても暖かな春日差を浴びていると優しかった叔母たちの声が空から聞こえてくるようでした。  
    洛南の公園桜はまだなれど
    池に豊かな春日差し
    岸に坐ればあたたかし
    春日浴ぶやさしき声を聞くごとく


       鶯の鳴けば鳴き止む田の蛙(男声女声)   常朝 (演奏時間 1:36)

注:令和4年2022年3月、京都精華町の乾谷を歩いていたら田の蛙が鳴いていました。

しばらく鳴き声を聞いていたら鶯が鳴き出して、蛙の声が止まりました。蛙たちも鶯の声を聞こうとしたのかもしれません。
    洛南の谷田ににぎやかに蛙鳴く    
    その声しばし聞きおれば
    鶯つよく鳴きはじむ
    鶯の鳴けば鳴き止む田の蛙


       とめどなく花散る下に立ちゐたり(男声女声) 常朝 (演奏時間 1:40)

注:令和3年2021年3月、近所の三段公園には大きな桜が5、6本あり今年も見事な花を咲かせてくれます。3月末公園に行くとちょうど満開の桜が散り始めました。その下に立つと風もないのにとめどなく花が散り、頭に肩にふりかかりました。それはなにかの恵みのようでした。   
        三段の公園広く誰もゐず
    桜大樹は咲き揃ひ
    風もあらずに散りゐたり
    とめどなく花散る下に立ちゐたり

       破蓮のあきらめきりし姿かな(男声女声)    常朝   (演奏時間 1:55)     

注:1994年12月上野公園の忍ばずの池を歩いたら破蓮(やれはす)がカモメの来る池面にうなだれていました。見る人もなく諦めきった様子でした。(原曲:Orpheus作曲) 
    不忍の池にかもめの来ていたり
    見れば破蓮あまた立つ
    見る人もなくうなだれて
    破蓮のあきらめきりし姿かな


      回りつつ輪を狭めけり鴨の陣(男声女声)     常朝   (演奏時間 1:55)              

注:2018年1月末大和郡山市の大和民俗公園からの帰り、北東500メートルほどの大和田城跡北の池を訪ねました。たまたま鴨が20羽くらい集まっていて鴨の陣を作っていましたが、そのうち鴨たちが時計回りに回転をはじましめた。見ているとその輪が段々と狭くなってきてそのうちの1羽が輪から抜けてしばらくして元に戻りました。何のために回転をしているのでしょう。 
    城跡に近き池面は静かなり
    二十羽も集まり作る鴨の陣
    輪になりてくるくる回りはじめたよ
    回りつつ輪を狭めけり鴨の陣