6竜胆

  あの畦にありし竜胆もうあらず(女声男声)   常朝        (演奏時間1:43) 

注:京田辺市高船の峠近い田の畦に2016年頃まで春になると竜胆(りんどう)が咲いていましたが、2018年の春にはなくなっていました。楽しみにして登ったのに。

   皇后の荘たりし谷稲の花(女声)        常朝         (演奏時間1:39)

注:2018年8月下旬、精華町の山田川を歩いていたら稲の花が咲いていました。
精華町の柘榴地区は、地元の日出神社の説明によると奈良時代、光明皇后の荘園であったようです。奈良時代と同じように、白くかわいい稲の花が咲いていました。

 はしゃぐ子をとらえて祭のはっぴ着す(女声男声)常朝        (演奏時間1:32)

注:1976年10月近くの蔵之宮の秋祭りで子供たちもお神輿の行列に参加しました。
長男4歳は喜んで、法被を着せようとするとはしゃいで家中を逃げ回りやっと捕まえて
着せて参加しました。年に一度の祭となると子も親もうきうきしていました。

 茅の輪流る初瀬の川の夕風に(男声女声)    常朝        (演奏時間2:00)

注:2018年6月末奈良・田原本町の村屋神社の夏祓祭を訪ねました。
渡された切幣を我が身に掛け、祈祷などの神事後、子供たちが茅の輪を初瀬川まで運び、橋から茅の輪を投げました。夕日と夕風を受けて茅の輪がゆっくりと、おそらく海まで流れて行くのは良い景色でした。

   土筆とりはかまとりして子と過ごす(男声女声) 常朝        (演奏時間1:45)

注:1985年東京転勤から奈良へ戻った頃はまだ近くに田や畑が沢山あり、蛍さえ飛びました。翌春、近くの田の畦道に小学生の次男と土筆とりにいき、家へ帰ってから二人ではかまとりをしました。次男もあっという間に高校、大学、就職と進み離れて暮らしています。今となっては、貴重な時間でした。

5今日の月

  上がるほど白くなりゆく今日の月(男声混声)   常朝        (演奏時間1:48)  

注:2013年9月奈良・斑鳩の月を見るため法隆寺の東の上宮遺跡公園を訪ねました。
月の出を待っていると東の空から月が上がってきましたが、見ていると段々白く美しくなってきました。

  雪しきり我が身昭和にある如し(男声)            常朝        (演奏時間1:53)

注:2015年1月5日は雪で、朝からしきりに降り続いていました。庭の雪を見ていると、昔生家の窓から道に降る雪を見ていたのを思い出し、自分が昭和時代に戻ったような気がしました。

  虹色の夢見るごとく合歓の花(女声)       常朝        (演奏時間1:50)

注:2015年6月奈良市富雄中学校の前の富雄川の岸に合歓の花が咲いて、ふわっとした花がまるで夢を見ているようでした。おそらく虹色の夢だったでしょう。

  傾ける日に華やぎて桃の花(女声)                     常朝        (演奏時間1:52)

注:2016年4月桜井市の檜原神社参拝後、西200メートルほどの桃畑を訪ねました。
大和三山の見える国中(くんなか)に日は傾きはじめていましたが、満開の桃の花はますます華やいで見えました。

  秋雲の白はお空が青いから(女声混声)             常朝       (演奏時間1:40)

注:2017年廃止される以前の奈良少年刑務所内の詩作教室で、少年受刑者が作った
「雲」という題の「空が青いから白を選んだのです」の詩に動かされ作句しました。
教師の寮美千子さんのNHKラジオ深夜便での話では、少年の幼い頃母が「つらいことがあったら空を見て、そこに私がいるから」と言ってなくなったとのことです。