29蓮の音

    蓮開く音はあらずと言い切らる(男声女声)      常朝   (演奏時間 2:20)

注:2012年7月琵琶湖烏丸半島の蓮池を訪ねました。蓮の花は少なかったですが葉の上の水玉が風と遊んでいました。朝蓮の花の咲くとき音が出ると聞いていたので、同行者の義姉に聞くと、音はないと言い切られました。数年後風車は撤去されました。
    琵琶湖南の半島に風車ゆっくり回りゐて
    そばに蓮池広がれリ
    花開く音はあるかと尋ねれば 
    蓮開く音はあらずと言ひ切らる


    茅花流し竹炭窯の谷狭し(男声女声)        常朝    (演奏時間 1:54)

注:2011年6月京都府精華町の山田川から乾谷を北へ歩きました。
谷はだんだん狭くなった所に竹炭窯の小屋がありました。
煙は出ていなかったですが、茅花流しの心地よい風が吹いてきました。
    洛南の谷は青葉に囲まれて
    小川の岸の鬼灯も
    ゆらして茅花流し吹く
    茅花流し竹炭窯の谷狭し


   稗蒔を吹きて青波立たせたり(男声女声)     常朝    (演奏時間 2:04)

注:2016年6月去年採っておいた稗(冷え)の種を菓子の空箱の蓋に敷いた綿に撒いたら、ぎっしりときれいに青い稗苗が育ちました。それを上からを吹いたら、まるで植田の波のように青波が立ちました。
    菓子箱の蓋に蒔いたる稗の種
    待てば青々葉が伸びて
    植田の如く育ちたる
    稗蒔を吹きて青波立たせたり  


    葉桜に緑の炎水陽炎(女声男声)              常朝    (演奏時間 2:05)

注:2018年4月奈良生駒市・北田原の山中の池まで歩きました。岸に坐って眺めていたら、岸に垂れる葉桜の葉に、水陽炎が映って揺れていました。まるで、緑の炎が水面から上がっているようでした。
    奈良の北の山に池あり桜あり
    岸に坐ればときおり届く青葉風
    岸の桜の花は早くも葉となれり
    葉桜に緑の炎水陽炎


    七つ目の星は背のてんと虫(男声女声)         常朝    (演奏時間     2:08)

注:2017年5月京都府精華町柘榴地区の山から乾谷までを歩きました。途中の池の北側の細道の土手で休憩していたらてんとう虫が一匹飛んできて左手に止まりました。よく見ると、7つ目の黒い星は丁度背中の上にありました。いつも背中に星を乗せて飛んでいるようです。                   洛南の谷に池あり木立あり
    土手に休めばてんと虫
    我が手にとまり背を見せし
    七つ目の星は背の上てんと虫