33お水取

       修二会果て石焼芋の帰りゆく(女声男声)   常朝    (演奏時間 2:20) 

注:1986年3月奈良・二月堂のお水取り(修二会)を見に行きました。二月堂の廊を走る松明を見たあと、大勢と共に境内を帰る途中、石焼き芋の手押し車も一緒でした。最近は石焼芋の車を見ることがほとんどなくなりました。
    東大寺二月堂のお水取り
    回廊走る松明を
    見上げたあとの帰り道
    修二会果て石焼芋の帰りゆく


       閼伽井屋の提灯暗しお水取(女声男声)    常朝    (演奏時間 2:16) 

注:2010年3月12日奈良・二月堂のお水取りの夜に参列、この深夜、二月堂の下の閼伽井屋に僧侶が入り、若狭から送られるという水を、中の井戸から汲み上げる儀式です。二月堂からの行き帰りの行列も明かりは松明だけで、汲み上げるときは暗い提灯だけでした。 
    東大寺二月堂のお水取り
    お水を汲むのは閼伽井屋の井戸
    暗がりの静けさの中僧が汲む
    閼伽井屋の提灯暗しお水取


      水争いありし峠に春の雪(男声女声)     常朝    (演奏時間 2:30) 

注:2009年3月雛の節句に奈良・御所市関屋の葛木水分(みくまり)神社を訪ねました。
この峠(水越峠)は江戸時代西の大阪側と奈良側で峠の水を東西どちらに流すか水争いがあって、古い文書のおかげで奈良側に水を取り戻したとのことです。その昔を思っていたら春の雪が降ってきました。
    葛城山水越峠は奈良大阪の境にて
    その昔峠の水を争いし
    水分の神社に立てば春の雪
      水争いありし峠に春の雪

       病院の窓よく見ゆる冬木越し(女声男声)   常朝    (演奏時間 2:04) 

注:1990年平成2年1月心臓病で通っていた東京・港区の慈恵医大病院に入るとき、周囲の木々がほとんど裸木となっていて、見上げると今まで見えなかった病室の窓がよく見えました。
    病院は背の高き木々に囲まれて
    冬は裸木ばかりなり 
    いかなる人か窓の内
    病院の窓よく見ゆる冬木越し 


      恋猫の静かになりて眠られず(女声男声)   常朝    (演奏時間 1:50) 

注:1986年昭和61年春、家の近くにまだ畑や蛍の飛ぶ藪などがあり野良猫もいて、時々家の庭などにも来ました。春先は恋猫が相手を求めてうろつきます。ある夜遅くまで恋猫がギャーギャー鳴いて眠られず困っていましたが、急に猫の声がやみました。静かになったらかえって眠れなくなりました。
    野良猫の恋の始まる春浅し
    恋猫の鳴く声夜は眠られず
    その声急にとまりけり
    恋猫の静かになりて眠られず


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