10赤蜻蛉

   赤蜻蛉やっぱりここと戻りけり(女声男声) 常朝        (演奏時間2:00)

注:2015年10月奈良・生駒市の高山竹林園を訪ねた折、庭園本館の東側の坂の手すりに赤蜻蛉が止まっていて私が近づくと飛んでいきました。しばらく歩いて振り返ると、同じ赤蜻蛉が同じ所に止まっていました。この場所が好きだったのでしょう。

 行く秋の小さき港に諸子舟(男声女声)          常朝        (演奏時間2:10)

注:2016年10月琵琶湖西岸の北小松・松水に句会の先輩方と鮎の背がき料理に行きました。時間があったので北の漁港の方へ歩いたら、小さい漁港に諸子舟が繋がれて誰もおらず、深み行く秋の湖の風情でした。

 幾たびも空を見上ぐる良夜かな(女声男声)  常朝        (演奏時間1:43)

注:2017年10月はじめ、快晴で名月が見られました。夕方見てあまりにきれいだったので、夕食後も空を見上げ、また入浴前も、寝る前も外に出て月を見ました。

 綿弓を音立て弾く乙女かな(女声男声)   常朝        (演奏時間1:53)

注:2018年11月奈良・大和民俗公園のふるさとフェスタを訪ねたら博物館入口のフロアでは、木綿糸作りの実演・演習があり、綿弓で糸ほぐしと糸車で糸作り(糸ぐり)をしていました。中学生らしい女生徒が指導員の指導を受けながら、綿弓で木綿の花を弾いて音を立てていました。芭蕉の句 「綿弓や琵琶になぐさむ竹の奥」にあるように、ビューンビューンと鳴らして。 

 刈田焼く大和の国をけぶらせて(男声女声) 常朝        (演奏時間2:04)

注:2015年10月奈良・大和民俗公園へ富雄川の岸を南へ歩くと途中の田は稲刈りが済んで、農夫が一人籾殻や雑草を焼いていました。その煙は風の方向が変わるので、四方へとひろがり、まるで奈良だけでなく大和の国すべてをけぶらすように見えました。

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